あだ人のまがきちかうな花植ゑそ
にほひもあへず折りつくしけり
- 歌の意味
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浮気な人の住む家の垣根の近くに、花を植えてはいけない。花が美しく咲き匂う間もなく、すっかり折り尽くしてしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第七 物名 363
詞書「きちかう」
浮気な人の家の垣根の近くには花を植えてはいけない、咲き匂う間もなく折り尽くしてしまったからと詠む歌である。花を折り尽くす浮気な人に、人の心の移り気をも思わせ、二句の「まがきちかう」の音の続きに、詞書の「きちかう」の名を隠している。詞書の「きちかう」は、この歌に詠み込まれた物の名である。
古今和歌集の物名にも「きちかうの花」の題で紀友則の「秋近う野はなりにけり」の歌があり、同じく「ちかう」の音に桔梗の名を隠している。
初句「あだ人の」は、浮気な人の、の意である。
二句「まがきちかうな」は、垣根の近くに、の意で、「な」は三句の「そ」と呼応して禁止を表す。「まがきちかう」に「きちかう」の名を隠している。
三句「花植ゑそ」は、花を植えるな、の意で、「な〜そ」で禁止を表す。ここで句切れとなる。前歌の竜胆に続き、秋の花が詠まれる。
四句「にほひもあへず」は、美しく咲き匂いきらないうちに、の意である。
結句「折りつくしけり」は、すっかり折り尽くしてしまったことだ、の意で、「けり」は詠嘆を表す。
きちかう:桔梗。秋の七草の一つ。「籬近う」の音の続きに隠して詠み込む
まがき:竹や柴を粗く編んだ垣。籬
あだびと:浮気な人。誠実でない人
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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河上に今よりうたむ網代には まづ紅葉葉や寄らむとすらん
- 次の歌
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我が宿の花の葉にのみ寝る蝶の いかなるあさかほかよりは来る