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誰が里に語らひかねて時鳥
帰る山路のたよりなるらむ

歌の意味
どこの里で語らいかねて、ほととぎすは山路を帰っていく途中で、ついでに立ち寄って鳴くのだろうか。
鑑賞
巻第九 雑歌上 315

 ほととぎすがここで鳴くのは、どこかの里で思うように語らうことができず、山へ帰る途中のついでに立ち寄ったのだろうかと詠む一首である。ほととぎすを恋人になぞらえ、ほかの女のもとから帰る途中に立ち寄ったにすぎないのだろうと、恨みをこめている。

 初句「誰が里に」は、どこの誰の里でという問いを表す。
 二句「語らひかねて」は、語らうことができずにという意で、恋人と親しく語り合えなかったことを重ねる。
 三句「時鳥」は、初夏に鳴く鳥で、ここでは訪れる人をなぞらえている。
 四句「帰る山路の」は、山へ帰っていく道をいう。
 結句「たよりなるらむ」は、断定の「なり」と現在推量の「らむ」で、ついでの立ち寄りなのだろうかと結ぶ。

かたらふ:親しく語り合う。男女が契りを交わす
たより:ついで、機会
作者
よみ人しらず
出典
詞花和歌集
前の歌
あだ人はしぐるる夜半の月なれや すむとてえこそ頼むまじけれ
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よしさらばつらさは我にならひけり 頼めて来ぬは誰か教へし