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あふみてふ方のしるべも得てしかな
みるめなきことゆきてうらみん

歌の意味
近江、逢う身という方へ向かう道しるべを得たいものだ。そうしたら、海松布のない浦を見るように、逢う機会のないことを、行って恨もう。
鑑賞
巻第十二 恋歌四 858

詞書「消息しばしばつかはしけるを、父母侍りて制し侍りければ、え逢ひ侍らで」
 近江という方への道しるべを得たい、逢う機会のないことを行って恨もう、と詠んだ歌である。親に阻まれて逢えない恋を、逢う身に通じる近江へ向かう道を求める形で詠み、もどかしさを訴えている。
 詞書によれば、たびたび手紙を送っていたが、女の父母がいて制止したので逢えずに詠んだ歌である。次歌の第八百五十九首は春澄善縄朝臣女による返しで、二首で贈答となっている。
 作者の「源よしの朝臣」は源善である。昌泰四年(901)の昌泰の変で、菅原道真に連座して左遷された人物として知られる。

 初句「あふみてふ」は、近江という、の意で、「あふみ」に地名の「近江」と「逢ふ身」を掛けている。本巻の第八百四十三首の結句「あふみてふ名は」とも共通している。
 二句「方のしるべも」は、その方角への道しるべも、の意である。
 三句「得てしかな」は、得たいものだ、の意で、「てしかな」は願望を表す。ここで句切れとなる。
 四句「みるめなきこと」は、逢う機会のないことを、の意で、「みるめ」に海藻の「海松布」と、逢う機会の「見る目」を掛けている。近江の湖にちなむ語である。
 結句「ゆきてうらみん」は、行って恨もう、の意で、「うらみ」に「浦見」と「恨み」を掛けている。

あふみ:地名の「近江」と、「逢ふ身」を掛ける
しるべ:道案内、手引き
みるめ:海藻の「海松布」と、逢う機会の「見る目」を掛ける
うらむ:「浦見る」と「恨む」を掛ける
作者
源善
出典
後撰和歌集
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ほの見ても目馴れにけりと聞くからに 臥しかへりこそ死なまほしけれ
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