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かげろふのほのめきつれば夕暮の
夢かとのみぞ身をたどりつる

歌の意味
かげろうのように、あなたがほのかに姿を見せたので、夕暮れの夢かとばかり思って、我が身をあれこれと確かめたことだ。
鑑賞
巻第十二 恋歌四 856

詞書「女につかはしける」
 かげろうのようにほのかに見えたので、夕暮れの夢かとばかり我が身を確かめた、と詠んだ歌である。わずかに姿を見ただけの相手を、はかないかげろうにたとえ、夢かうつつかと戸惑う心を詠んでいる。
 詞書によれば、女のもとへ送った歌である。次歌の第八百五十七首はこれに対する返しで、二首で贈答となっている。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。

 初句「かげろふの」は、かげろうのように、の意で、はかなくほのかなもののたとえとしている。
 二句「ほのめきつれば」は、ほのかに姿を見せたので、の意である。次歌の第八百五十七首は初句を「ほの見ても」として応じている。
 三句「夕暮の」は、夕暮れの、の意である。
 四句「夢かとのみぞ」は、夢かとばかり、の意で、「ぞ」は強めの係助詞である。
 結句「身をたどりつる」は、我が身をあれこれと確かめた、の意で、四句の「ぞ」を受けて連体形「つる」で結ぶ係り結びとなっている。

かげろふ:陽炎、またはかげろうという虫。はかなくほのかなもののたとえ
たどる:あれこれ考えながら確かめる
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
同じくは君とならびの池にこそ 身を投げつとも人に聞かせめ
次の歌
ほの見ても目馴れにけりと聞くからに 臥しかへりこそ死なまほしけれ