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唐衣袖朽つるまで置く露は
わが身を秋の野とや見るらん

歌の意味
唐衣の袖が朽ちるほどに置く露は、わが身を秋の野とでも見ているのだろうか。
鑑賞
巻第六 秋歌中 313

詞書「題しらず」
 唐衣の袖が朽ちるほどに置く露は、わが身を秋の野とでも見ているのだろうかと詠んだ歌である。袖を濡らし続ける涙を露に見立て、わが身を露の置く秋の野になぞらえている。
 本巻の第三百十三首から第三百十六首までは、袖に置く露に涙を重ねる歌が続いている。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。

 初句「唐衣」は、中国風の美しい衣で、次の「袖」を導いている。
 二句「袖朽つるまで」は、袖が朽ちるほどまで、の意で、涙に濡れ続けることを誇張している。
 三句「置く露は」は、置く露は、の意で、袖の涙を露に見立てている。
 四句「わが身を秋の」は、わが身を秋の、の意で、四句から結句にかけて、わが身を秋の野になぞらえている。
 結句「野とや見るらん」の「や」は疑問の係助詞で、連体形「らん」と係り結びをなし、野と見ているのだろうか、の意である。

からころも:中国風の美しい衣、「袖」「着る」などにかかる枕詞としても用いる
くつ:朽ちる
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
秋の野に置く白露の消えざらば 玉に貫きてもかけて見てまし
次の歌
大空にわが袖ひとつあらなくに 悲しく露やわきて置くらん