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白雲のかかるそら言する人を
山の麓に寄せてけるかな

歌の意味
白雲が空にかかるように、このような空言を言う人を、山の麓に寄せつけてしまったことだ。
鑑賞
巻第十九 雑恋 1218

詞書「題しらず」
 白雲が空にかかるように、このような空言を言う人を山の麓に寄せつけてしまったと詠む歌である。前歌の第千二百十七首の、白雲のかからない山はないという言葉に答えた歌とみられ、移り気だと決めつけるその言葉こそ空言だと言い返しつつ、そんな人と関わりをもってしまったことを嘆いている。

 初句「白雲の」は、白い雲が、の意で、二句の「かかる」「そら」を導いている。前歌の第千二百十七首の三句「白雲の」と、同じ語を共有している。
 二句「かかるそら言」は、「かかる」が白雲が「掛かる」と「斯かる(このような)」を掛け、「そら」が「空」と「空言」の「そら」を掛ける掛詞である。このような根拠のない言葉、の意となる。
 三句「する人を」は、言う人を、の意である。
 四句「山の麓に」は、山の麓に、の意で、白雲の縁で山を持ち出し、相手を寄せつけた自分の身をいう。
 結句「寄せてけるかな」は、寄せつけてしまったことだ、の意で、「て」は完了、「ける」は過去の助動詞「けり」の連体形、「かな」は詠嘆を表す。

かかる:白雲が「掛かる」意と、このような の意の「斯かる」を掛ける
そら:「空」と、根拠のない の意の「空言」の「そら」を掛ける
そらごと:空言。うそ、根拠のない言葉
作者
よみ人しらず
出典
拾遺和歌集
前の歌
いづくとも所定めぬ白雲の かからぬ山はあらじとぞ思ふ
次の歌
いつしかも筑摩の祭り早せなん つれなき人の鍋の数見む