- 歌の意味
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悲しみに沈む私の袂に、あなたの姿が移り映ったならば、喪服の色も藤の花のように見えたことだろう。
- 鑑賞
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巻第二十 慶賀歌 1417
詞書「親のわざしに寺にまうで来たりけるを聞きつけて、もろともにまうでましものをと人の言ひければ」
わび人の袂にあなたが移ったならば、色は藤の花と見えただろう、と詠んだ歌である。親の法事に寺へ詣でた作者に、一緒に詣でたかったと言った人に対し、もしあなたが共にいて袂に寄り添っていたなら、喪服の色も藤の花のように華やいで見えただろうと答えているとみられる。
詞書によれば、作者が親の法事のために寺に詣でたのを聞きつけた人が、一緒に詣でたかったと言ったので詠んだ歌である。次歌はその返しで、二首は贈答の一組となっている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「わび人の」は、悲しみに沈む人の、の意で、喪に服する作者自身を指している。
二句「袂に君が」は、袂にあなたが、の意である。
三句「移りせば」は、移り映ったならば、の意で、「せば」は反実仮想の仮定を表す。
四句「藤の花とぞ」は、藤の花と、の意で、喪服を藤衣ということを踏まえている。「ぞ」は強意の係助詞である。
結句「色は見えまし」は、色は見えただろう、の意で、三句の「せば」と呼応して反実仮想を表す。「ぞ」を受けて連体形「まし」で結ぶ係り結びとなっている。次歌の三句「藤衣」に受けられている。
わびびと:悲しみに沈む人
わざ:法事、仏事
うつる:色や姿が移り映る
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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君がいにし方やいづれぞ白雲の 主なき宿と見るが悲しさ
- 次の歌
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よそに居る袖だにひちし藤衣 涙に花も見えずぞあらまし