よそに居る袖だにひちし藤衣
涙に花も見えずぞあらまし
- 歌の意味
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離れた所にいた私の袖でさえ涙に濡れたのだから、あなたの藤衣は涙のために、花の色も見えなかったことだろう。
- 鑑賞
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巻第二十 慶賀歌 1418
詞書「返し」
離れた所にいた袖さえ濡れたのだから、藤衣は涙で花も見えなかっただろう、と詠んだ歌である。前歌の藤の花の見立てを受け、離れていた自分の袖さえ涙に濡れたのに、まして喪に服するあなたの藤衣は涙に濡れて、花の色など見えなかっただろうと答えている。
前歌に対する返しである。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「よそに居る」は、離れた所にいる、の意で、法事に同行しなかった作者自身をいう。
二句「袖だにひちし」は、袖でさえ濡れた、の意で、「だに」は軽いものを挙げて重いものを類推させる。
三句「藤衣」は、喪服のことで、前歌の四句「藤の花」を受けている。
四句「涙に花も」は、涙のために花も、の意である。
結句「見えずぞあらまし」は、見えなかっただろう、の意で、前歌の結句「見えまし」に応じている。「ぞ」を受けて連体形「まし」で結ぶ係り結びとなっている。
ひつ:水につかって濡れる
ふぢごろも:藤や葛の繊維で織った粗末な衣、喪服
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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わび人の袂に君が移りせば 藤の花とぞ色は見えまし
- 次の歌
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ほどもなく誰も後れぬ世なれども とまるは行くを悲しとぞ見る