ほどもなく誰も後れぬ世なれども
とまるは行くを悲しとぞ見る
- 歌の意味
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まもなく誰もが後に残らず死んでゆく世であるけれども、この世にとどまる者は、先に行く者を悲しいと見るのである。
- 鑑賞
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巻第二十 慶賀歌 1419
詞書「題しらず」
まもなく誰も後に残らない世だけれども、とどまる者は行く者を悲しいと見る、と詠んだ歌である。人は皆いずれ死に、誰ひとり残る者はいないと知りながらも、生き残る者は先立つ人を悲しまずにはいられないと、人の世の無常と情を詠んでいる。
作者の伊勢は、伊勢守藤原継蔭の娘で、宇多天皇の女御藤原温子に仕えた。宇多天皇の寵を受け、のちに敦慶親王との間に中務を生んだ。三十六歌仙の一人で、小倉百人一首には「難波潟短き葦のふしの間も」の歌が採られている。
初句「ほどもなく」は、まもなく、の意である。
二句「誰も後れぬ」は、誰も後に残ることはない、の意である。
三句「世なれども」は、世であるけれども、の意で、「ども」は逆接を表す。
四句「とまるは行くを」は、この世にとどまる者は先に行く者を、の意で、「とまる」と「行く」が対をなしている。
結句「悲しとぞ見る」は、悲しいと見る、の意で、「ぞ」を受けて連体形「見る」で結ぶ係り結びとなっている。
おくる:後に残される
とまる:この世に生き残る
- 作者
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伊勢
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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よそに居る袖だにひちし藤衣 涙に花も見えずぞあらまし
- 次の歌
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時の間も慰めつらむ覚めぬ間は 夢にだに見ぬ我ぞ悲しき