後れ居て我が恋ひ居れば白雲の
たなびく山を今日や越ゆらむ
- 歌の意味
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後に残された私があなたを恋しく思っているうちに、あなたは今ごろ、白雲のたなびく山を今日越えているのだろうか。
- 鑑賞
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巻第六 別歌 337
旅立った人の後に残された者が、恋しく思いながら、相手は今日あたり白雲のたなびく遠い山を越えているのだろうかと思いやる歌である。都に残る者の立場から、旅人の遠ざかる道のりを白雲のたなびく山に託している。
万葉集にもほぼ同じ形の歌が見え、古くから伝わる別れの歌である。
前歌の第三百三十六首が見送る側の涙を詠んだのに続き、本歌は見送った後に旅人を思いやる心を詠んでいる。本巻の巻末の第三百四十九首は、反対に旅立つ側から都へ贈った歌である。
初句「後れ居て」は後に残っての意で、旅立った人に取り残された立場を示している。本巻の第三百四十首の「後れねば」は、旅人に後れずついていく月を詠んでおり、本歌と対をなしている。
二句「我が恋ひ居れば」は私が恋しく思っているとの意で、已然形に「ば」を付けた確定条件である。
三句「白雲の」は白い雲のの意で、遠く隔たった地を思わせる景物である。
四句「たなびく山を」は雲が横に長く引く山をの意である。
結句「今日や越ゆらむ」は今日越えているのだろうかの意で、係助詞「や」が現在推量の「らむ」の連体形と係り結びをなす。
おくる:後に残される、取り残される
たなびく:雲や霞が横に長く引く
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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帰るべき旅の別れと慰むる 心に違ふ涙なりけり
- 次の歌
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片敷きの袖にひとりは明かせども 落つる涙ぞ夜を重ねける