- 歌の意味
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いずれは帰ってくるはずの旅の別れなのだと自分を慰める、その心に背いてこぼれる涙であることだ。
- 鑑賞
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巻第六 別歌 336
いずれ帰ってくる旅の別れなのだからと心を慰めても、その心に背いて涙はこぼれてしまう、と詠む歌である。理屈で納得しようとする心と、思わずあふれる涙との食い違いに、別れの悲しみの深さを表している。
伝本の中には、「帥重尹卿下りはべりける時、人々餞しはべりけるによめる」の詞書を持つものがある。大宰権帥となった藤原重尹が任地へ下る際の送別の宴で詠んだ歌ということになる。
作者の「頼宗」は、藤原道長の次男で、右大臣に至った藤原頼宗である。母は源明子で、堀河右大臣と呼ばれた。家集に入道右大臣集がある。
初句「帰るべき」は帰ってくるはずのの意で、当然の「べし」を用いる。本巻の第三百四十二首の「帰れ」、第三百四十三首の「帰り来む」と同じく、旅人の帰りを詠んでいる。
二句「旅の別れと」は旅の別れなのだとの意である。
三句「慰むる」は自分の心を慰めるの意で、四句の「心」にかかる連体形である。
四句「心に違ふ」は心に背くの意で、慰めようとする心と涙とが食い違うことを示している。
結句「涙なりけり」は涙であることだの意で、詠嘆の「けり」で結んでいる。本巻の第三百三十八首の「落つる涙ぞ」にも涙が詠まれている。
なぐさむ:心を慰める、気を晴らす
たがふ:食い違う、背く
- 作者
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藤原頼宗
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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よそに聞く苗代水にあはれ我が おりたつ名をも流しつるかな
- 次の歌
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後れ居て我が恋ひ居れば白雲の たなびく山を今日や越ゆらむ