今よりは風にまかせむ桜花
散る木のもとに君とまりけり
- 歌の意味
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これからは、桜の花を風の吹くままにまかせよう。散る花の木の下に、あなたがとどまってくださったのだから。
- 鑑賞
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巻第三 春歌下 105
詞書「すけのぶが母身まかりてのち、かの家に敦忠朝臣のまかり通ひけるに、桜の花の散りけるをりにまかりて、木のもとに侍りければ、家の人の言ひ出だしける」
散る桜の木の下にあなたがとどまってくれたのだから、これからは花を風にまかせて散らせてもよいと詠んだ歌である。亡き人ののちも変わらず訪れる藤原敦忠への感謝を、散る花に託して表している。
詞書によれば、すけのぶの母が亡くなったのちも、藤原敦忠がその家に通っていたが、桜の散るころに訪れて木の下にいたので、家の人が内から詠みかけたものである。次歌は敦忠の返歌で、二首は贈答をなしている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「今よりは」は、これからは、の意である。
二句「風にまかせむ」の「む」は意志で、花を散らす風を拒まず、風の思うままにさせよう、の意である。ここで句切れとなる。次歌の第百六首は「風にしも何かまかせむ」と、この句を受けて返している。
三句「桜花」は、散っていく家の桜を示す。次歌も三句に同じ「桜花」を置いている。
四句「散る木のもとに」の「木のもと」は木の下の意で、敦忠がたたずんでいた所を示す。
結句「君とまりけり」の「けり」は気づきの詠嘆で、散る花のもとにもあなたはとどまってくれた、と感謝を表している。
このもと:木の下
まかる:行く、参る
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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都人来ても折らなんかはづ鳴く 県の井戸の山吹の花
- 次の歌
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風にしも何かまかせん桜花 匂ひ飽かぬに散るは憂かりき