笠取の山に世をふる身にしあれば
すみやきもをるわが心かな
- 歌の意味
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笠取山に住んで世を過ごしている身であるので、炭を焼きもし、木を折りもするように、胸を焦がし、心を折る私の心であることよ。
- 鑑賞
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巻第八 恋歌下 497
笠取山に住んで世を過ごす身なので、炭を焼きもし、木を折りもするように、胸を焦がし心を折る自分であることよ、と詠む歌である。笠取山の山里の暮らしに寄せて、住みと炭、焼きと妬き、折ると居るなどを重ね、思い焦がれる心を機知的に表しているとみられる。語義には解釈の分かれる点がある。
本巻の第四百九十四首以下の一連と同じく、山の木にかかわる語で恋を詠む歌である。
初句「笠取の」は、山城の歌枕の笠取山のの意である。「笠」は二句の「ふる」と縁語をなしている。
二句「山に世をふる」の「ふる」は、世を「経る」意と、笠の縁で雨が「降る」意とを掛けており、平仮名のままとした。
三句「身にしあれば」は、身であるのでの意で、副助詞「し」が強めている。
四句「すみやきもをる」は、炭を焼きもし、木を折りもするの意で、「すみ」は山に「住み」の意と「炭」とを、「やき」は炭を「焼き」の意と嫉妬する意の「妬き」とを、「をる」は木を「折る」意と「居る」意とを掛けているとみられ、平仮名のままとした。
結句「わが心かな」は、私の心であることよの意で、詠嘆の終助詞「かな」で結んでいる。
かさとり:山城の歌枕の「笠取山」
ふる:世を「経る」意と、雨が「降る」意を掛ける
すみ:山に「住み」の意と、「炭」を掛けるとみられる
やく:炭を「焼く」意と、嫉妬する意の「妬く」を掛けるとみられる
をる:木を「折る」意と、「居る」意を掛けるとみられる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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金葉和歌集
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あふみてふ名はたかしまと聞こゆれど いづらはここにくるもとの里
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あふこなきものと知る知る何にかは なげきをやまとこりはつむらむ