風にしも何かまかせん桜花
匂ひ飽かぬに散るは憂かりき
- 歌の意味
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どうして風になどまかせることがあろうか、桜の花を。その美しさを見飽きないうちに散ってしまうのは、つらかったのだから。
- 鑑賞
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巻第三 春歌下 106
詞書「返し」
前歌で、これからは桜を風にまかせようと詠みかけられたのに対し、どうして風にまかせられようか、見飽きないうちに散るのはつらかったのだから、と返した歌である。散る花に、亡くなった人を惜しむ思いを重ねていると読める。
前歌の第百五首と贈答をなす。
作者の「あつただの朝臣」は藤原敦忠である。藤原時平の三男で、権中納言に至った。管弦にも優れ、三十六歌仙の一人である。
初句「風にしも」の「しも」は強意で、ほかでもない風に、の意である。
二句「何かまかせん」の「か」は反語の係助詞で、連体形「ん」と係り結びをなす。どうして風にまかせようか、まかせはしない、の意で、前歌の第百五首の「風にまかせむ」を打ち返している。ここで句切れとなる。
三句「桜花」は、前歌と同じく三句に置かれ、贈答の形を整えている。
四句「匂ひ飽かぬに」の「匂ひ」は色の美しさ、つややかさで、「飽かぬに」は見飽きないうちに、の意である。
結句「散るは憂かりき」の「き」は過去の助動詞で、かつて味わったつらさを振り返っている。花の散るつらさに、亡き人を失った悲しみが重ねられている。
にほひ:色の美しさ、つややかさ
あく:満ち足りる、飽きる
- 作者
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藤原敦忠
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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今よりは風にまかせむ桜花 散る木のもとに君とまりけり
- 次の歌
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常よりも春辺になれば桜河 花の浪こそ間なく寄すらめ