いかでかはかく思ふてふことをだに
人づてならで君に知らせむ
- 歌の意味
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どうして、これほど思っているということだけでも、人づてではなく、あなたに知らせることができようか。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 635
詞書は前の歌に続き「侍従に侍りける時、女にはじめてつかはしける」
これほど思っているということだけでも、人づてではなく自分であなたに知らせたいが、どうしてそれができようか、と詠む歌である。詞書は前歌の第六百三十四首と同じで、侍従であったころ女に初めて贈った歌である。人を介さず自分の言葉で思いを伝えたいのに、その手立てがないもどかしさを表している。前歌と同じ初句「いかでかは」で始まり、前歌の「知らせそむべき」を受けて「君に知らせむ」と結んでいる。
作者の「権中納言敦忠」は藤原敦忠である。左大臣藤原時平の子で、従三位権中納言に至った。管絃にすぐれ、三十六歌仙に数えられ、百人一首の「逢ひ見ての」の歌で知られる。
初句「いかでかは」は、どうして、の意で、係助詞「かは」は反語を表し、結句の「む」の連体形で結ぶ係り結びである。前歌の第六百三十四首の初句と同じ句である。
二句「かく思ふてふ」は、これほど思っているという、の意で、「てふ」は「といふ」がつまった形である。
三句「ことをだに」は、ことだけでも、の意で、「だに」はせめて〜だけでも、の意を表す。
四句「人づてならで」は、人を介してではなく、の意で、「で」は打消の接続助詞である。
結句「君に知らせむ」は、あなたに知らせることができようか、の意で、前歌の二句「知らせそむべき」を受けている。
ひとづて:人伝。人を介して伝えること
- 作者
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藤原敦忠
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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いかでかは知らせそむべき人知れず 思ふ心の色に出でずは
- 次の歌
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あな恋しはつかに人をみづの泡の 消えかへるとも知らせてしがな