いかでかは知らせそむべき人知れず
思ふ心の色に出でずは
- 歌の意味
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どうして知らせ始めることができようか。人知れず思う心が、顔色に出ないならば。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 634
詞書「侍従に侍りける時、女にはじめてつかはしける」
人知れず思う心が色に出ないならば、どうして相手に知らせ始めることができようか、と詠む歌である。詞書から、侍従であったころ、女に初めて贈った歌とわかる。言葉にできない思いを、色に出ることでしか伝えられないもどかしさを表しており、色に出ることを恐れた前の歌々とは逆に、色に出ることを望む形となっている。結句は第六百三十二首と同じ「色に出でずは」である。
作者の「くにまさ」は伝未詳の人物で、詞書によれば侍従を務めた人である。
初句「いかでかは」は、どうして、の意で、係助詞「かは」は反語を表し、二句の「べき」で結ぶ係り結びである。次歌の第六百三十五首の初句「いかでかは」と同じ句である。
二句「知らせそむべき」は、知らせ始めることができようか、の意で、ここで句切れとなる二句切れの歌である。
三句「人知れず」は、人に知られないように、の意で、第六百二十一首の四句「人知れずこそ」と同じく、恋を秘める心をいう。
四句「思ふ心の」は、恋しく思う心が、の意で、前歌の第六百三十三首の二句「思ふ心の」と同じ句である。
結句「色に出でずは」は、顔色に出ないならば、の意で、倒置して二句に返っている。第六百三十二首の結句と同じ句である。
しらせそむ:知らせ初む。初めて知らせる
- 作者
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くにまさ
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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身にしみて思ふ心の年経れば つひに色にも出でぬべきかな
- 次の歌
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いかでかはかく思ふてふことをだに 人づてならで君に知らせむ