心にもまかせざりける命もて
頼めもおかじ常ならぬ世を
- 歌の意味
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自分の心のままにもならない命で、あなたに先をあてにさせる約束などはしておくまい。無常なこの世なのだから。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 1423
詞書「題しらず」
命と身のほどを詠む一連の一首目である。心のままにならない命で、先々をあてにさせる約束はするまい、この世は無常なのだからと詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「権中納言敦忠」は藤原敦忠である。左大臣藤原時平の子で、権中納言に至った。三十六歌仙の一人である。
初句「心にも」は、自分の心にも、の意である。
二句「まかせざりける」は、思いのままにならない、の意である。
三句「命もて」は、命をもって、の意である。前歌が命と引き換えにしても忘れられないと詠んだのを受け、ここでは命そのものの頼りなさを見つめる。
四句「頼めもおかじ」は、あてにさせる約束もしておくまい、の意で、「じ」は打消の意志である。四句で切れる。本巻の第千三百四十一首の「頼めおくらん」が相手にあてにさせられることを恨んだのに対し、ここでは自ら頼めおくことを控えている。
結句「常ならぬ世を」は、無常な世であるのに、の意である。四句からの倒置で、約束をしない理由を後に示している。
たのむ:下二段活用で、相手にあてにさせる
つねならぬ:無常な、移り変わる
- 作者
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藤原敦忠
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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長き世の尽きぬ嘆きの絶えざらば 何に命をかへて忘れん
- 次の歌
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世の憂きも人のつらきも忍ぶるに 恋しきにこそ思ひわびぬれ