かかりける人の心をしらつゆの
置ける物とも頼みけるかな
- 歌の意味
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このような人の心とも知らずに、白露が置くように私のもとにとどまってくれるものと、頼みにしていたことだ。
- 鑑賞
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巻第十 恋歌二 613
詞書「わざとにはあらで時々物言ひふれ侍りける女の、心にもあらで人に誘はれてまかりにければ、宿直物に書きつけてつかはしける」
このような人の心とも知らず、白露が置くように私のもとにとどまるものと頼みにしていた、と詠んだ歌である。ほかの男に誘われて去った女の心変わりを、すぐに消える白露になぞらえて嘆いている。
詞書によれば、ことさらにというわけでもなく時々言葉を交わしていた女が、心ならずも人に誘われて去ってしまったので、宿直の夜具に書きつけて送った歌である。本巻の第六百五十二首も四句と結句を「人の心を頼みけるかな」としており、同じ嘆きを詠んでいる。
作者の藤原敦忠は、左大臣藤原時平の三男で、権中納言を務めた。三十六歌仙の一人で、小倉百人一首には「逢ひ見ての後の心にくらぶれば」の歌が採られている。
初句「かかりける」は、このようであった、の意で、相手の心変わりを指している。
二句「人の心を」は、あの人の心を、の意である。本巻の第六百五十二首の四句と同じ句である。
三句「しらつゆの」の「しら」は、「知らず」と「白露」を掛けた掛詞である。
四句「置ける物とも」は、露が置くように、私のもとにとどまっているものとも、の意で、「置く」は露の縁語である。
結句「頼みけるかな」は、頼みにしていたことだ、の意で、「かな」は詠嘆の終助詞である。本巻の第六百五十二首と同じ結句である。
しらつゆ:「知らず」の意と、「白露」を掛ける
とのゐもの:宿直のときに用いる夜具や衣服
- 作者
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藤原敦忠
- 出典
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後撰和歌集
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試みになほ下り立たむ涙川 うれしき瀬にも流れあふやと
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