つれづれと思へばうきに生ふる葦の
はかなきよをばいかが頼まむ
- 歌の意味
-
しみじみと思うと、泥沼に生える葦の節が短くはかないように、つらいことの多いはかないこの仲を、どうして頼みにできようか。
- 鑑賞
-
巻第十九 雑恋 1248
詞書「まうで来ること難く侍りける男の、頼めわたりければ」
しみじみと思うと、泥沼に生える葦の節が短いように、はかないこの仲をどうして頼みにできようかと詠む歌である。詞書から、めったに訪れて来ない男が、いつまでも当てにさせるようなことばかり言ってきたので、女が詠んだ歌とわかる。泥に生える葦の短い節に、つらくはかない二人の仲を重ね、口先だけの約束を信じることはできないと、男をなじっている。
初句「つれづれと」は、しみじみと物思いにふけって、の意である。
二句「思へばうきに」は、思うと泥沼に、の意で、「うき」が泥土の「泥」と「憂き」を掛ける掛詞である。
三句「生ふる葦の」は、生えている葦の、の意で、六音の字余りの句である。葦の短い節から、四句の「はかなき」を導いている。
四句「はかなきよをば」は、「よ」が葦の「節」と、男女の仲の「世」を掛ける掛詞である。短い節、はかない仲、の二つの意を重ねている。
結句「いかが頼まむ」は、どうして頼みにできようか、の意で、反語を表す。「む」は推量の助動詞である。
うき:泥土の「泥(うき)」と、「憂き」を掛ける
よ:葦の「節(よ)」と、男女の仲の「世」を掛ける
たのめわたる:頼め渡る。あてにさせ続ける
- 作者
-
よみ人しらず
- 出典
-
拾遺和歌集
- 前の歌
-
しほたるる身は我とのみ思へども よそなる鶴も音をぞなくなる
- 次の歌
-
定めなき人の心に比ぶれば ただ浮島は名のみなりけり