玉くしげ明けまく惜しきあたら夜を
衣手離れて独りかも寝ん
- 歌の意味
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明けてしまうのが惜しい、このすばらしい夜を、いとしい人の袖から離れて、独りで寝るのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 1429
詞書は前の歌に続き「題しらず」
袖と衣を詠む一連の三首目である。明けるのが惜しいほどのすばらしい夜を、恋人の袖から離れて独りで寝るのかと嘆く。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「読人しらず」は、名の伝わらない作者であることを示す。
この歌は『万葉集』巻九に見える。
初句「玉くしげ」は、櫛を入れる美しい箱をいい、箱を「開け」ることから「明け」にかかる枕詞である。
二句「明けまく惜しき」は、夜が明けるのが惜しい、の意である。
三句「あたら夜を」は、明けるのが惜しいすばらしい夜を、の意である。
四句「衣手離れて」は、恋人の袖から離れて、の意である。前歌の「衣手」を受け、袖が二人を結ぶものとして詠まれる。
結句「独りかも寝ん」の「か」は疑問、「も」は詠嘆で、連体形「ん」で結ぶ係り結びである。前歌が乾かない袖を詠んだのに対し、この歌は恋人の袖と離れて独り寝る夜を詠み、袖と衣の一連を閉じる。
たまくしげ:櫛などを入れる美しい箱。「明け」などにかかる枕詞
あたらよ:明けるのが惜しいすばらしい夜
ころもで:袖
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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今よりは逢はじとすれや白妙の わが衣手の乾く時なき
- 次の歌
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逢ふことをおぼつかなくて過ぐすかな 草葉の露の置きかはるまで