来む世にもはやなりななむ目の前に
つれなき人を昔と思はむ
- 歌の意味
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いっそ早く来世になってしまってほしい。目の前にいる冷たい人のことを、昔のことだと思えるように。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 520
詞書「題しらず」
目の前にいながら冷たい相手のことを、いっそ来世になって前世の昔のことと思えたらと願う歌である。現世の恋の苦しみから逃れるために来世を望むという、仏教的な時間観を背景にした大胆な発想で、恋の苦しさの深さを表している。
初句「来む世にも」の「来む世」は、来世、死後の世のことである。
二句「はやなりななむ」の「ななむ」は、完了の助動詞「ぬ」の未然形「な」に、願望の終助詞「なむ」がついた形で、早くなってしまってほしいの意である。二句で切れる。
三句「目の前に」は、現に目の前にいるの意で、四句の「つれなき人」にかかる。
四句「つれなき人を」は、冷淡な人をの意である。次歌の第五百二十一首も「つれもなき人を」と、冷たい相手への恋が続けて詠まれている。
結句「昔と思はむ」は、前世の昔のことと思おうの意で、「む」は意志を表す。来世という遠い未来から見て、現在の恋を過去として突き放したいという願いである。
こむよ:来世、死後の世
つれなし:冷淡である、そっけない
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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忍ぶれば苦しきものを人知れず 思ふてふこと誰に語らむ
- 次の歌
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つれもなき人を恋ふとて山彦の こたへするまで嘆きつるかな