大空にわが袖ひとつあらなくに
悲しく露やわきて置くらん
- 歌の意味
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大空の下に私の袖ひとつがあるわけでもないのに、悲しいことに、露は私の袖を選び分けて置くのだろうか。
- 鑑賞
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巻第六 秋歌中 314
詞書「題しらず」
大空の下には自分の袖ひとつだけがあるわけでもないのに、悲しいことに、露は私の袖だけを選んで置くのだろうかと嘆いた歌である。大空と袖ひとつとを対比させ、自分ひとりが涙に濡れる悲しみを表している。
本巻の第三百十三首から第三百十六首までは、袖に置く露に涙を重ねる歌が続いている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。
初句「大空に」は、広い大空の下に、の意である。巻第二の第六十四首も初句に「大空に」を置き、空を覆うほどの袖を願っている。
二句「わが袖ひとつ」は、私の袖ひとつが、の意で、初句の大空と対比させている。
三句「あらなくに」の「なくに」は、ないのに、の意で、本巻の第二百八十六首も同じ三句を置いている。
四句「悲しく露や」の「や」は疑問の係助詞で、悲しいことに露は、の意である。
結句「わきて置くらん」の「わきて」は、区別して、とりわけ、の意で、四句の「や」と連体形「らん」が係り結びをなす。選び分けて置くのだろうか、の意である。
わく:区別する、選び分ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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唐衣袖朽つるまで置く露は わが身を秋の野とや見るらん
- 次の歌
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朝ごとに置く露袖に受けためて 世の憂き時の涙にぞ借る