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朝ごとに置く露袖に受けためて
世の憂き時の涙にぞ借る

歌の意味
毎朝置く露を袖に受けためて、世がつらい時の涙として借りるのだ。
鑑賞
巻第六 秋歌中 315

詞書「題しらず」
 毎朝置く露を袖に受けためておいて、世の中がつらい時の涙として借りるのだと詠んだ歌である。袖の露を涙と見る趣向を逆にし、露を涙の蓄えとする機知を表している。
 本巻の第三百十三首から第三百十六首までは、袖に置く露に涙を重ねる歌が続いている。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。

 初句「朝ごとに」は、毎朝、の意である。
 二句「置く露袖に」は、置く露を袖に、の意である。
 三句「受けためて」は、受けてためて、の意で、露を袖に蓄えることを示す。
 四句「世の憂き時の」は、世の中がつらい時の、の意である。
 結句「涙にぞ借る」は、涙として借りるのだ、の意で、係助詞「ぞ」と連体形「借る」が係り結びをなす。前歌までが袖の露を涙と見たのに対し、本歌は露を涙の代わりとしている。

うけたむ:受けてためる
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
大空にわが袖ひとつあらなくに 悲しく露やわきて置くらん
次の歌
秋の野の草も分けぬをわが袖の 物思ふなへに露けかるらん