古典和歌stream

見も果てて行くと思へば散る花に
つけて心の空になるかな

歌の意味
最後まで見届けてから去ろうと思うので、散る花につれて、心がうわの空になってしまうことだ。
鑑賞
巻第一 春歌 60

詞書「題しらず」
 花が散り終わるまで見届けてから去ろうと思っているので、散っていく花につれて心が落ち着かず、うわの空になると詠む。花を見届けようとする心と、散る花に乱される心とが重なっている。

 初句「見も果てて」は、最後まで見届けて、の意である。
 二句「行くと思へば」は、去ろうと思うので、の意で、「ば」は確定条件を表す。
 三句「散る花に」は、散っていく花を示し、前歌の散り始める花を受ける。
 四句「つけて心の」は、散る花につれて、の意で、花の散るさまに応じて心が動くことを示す。
 結句「空になるかな」は、「空」が心がうわの空になる意で、花の舞う空とも響き合う。「かな」は詠嘆である。

みはつ:最後まで見届ける
そら:ここでは心が落ち着かず、うわの空であること
作者
よみ人しらず
出典
拾遺和歌集
前の歌
散りそむる花を見捨てて帰らめや おぼつかなしと妹は待つとも
次の歌
朝ごとにわが掃く宿の庭桜 花散るほどは手も触れで見む