- 歌の意味
- 毎朝私が掃き清める家の庭の桜よ。花の散っている間は、手も触れずに眺めていよう。
- 鑑賞
-
巻第一 春歌 61
詞書「延喜御時藤壺の女御歌合の歌に」
毎朝掃除をしている庭であっても、桜の花が散っているあいだは掃き清めずに、散り敷いた花をそのままに眺めようと詠む。日々の営みよりも花を優先する心が表れている。詞書によれば、醍醐天皇の延喜の御代に藤壺の女御が催した歌合の歌である。
初句「朝ごとに」は、毎朝、の意である。
二句「わが掃く宿の」は、自分が掃き清める家の、の意である。
三句「庭桜」は、庭に咲く桜を示し、体言を据えて四句へ続く。
四句「花散るほどは」は、花の散っている間は、の意である。
結句「手も触れで見む」は、「で」が打消の接続助詞で、手も触れずに見よう、の意である。散った花を掃かずにおくという風情を示す。
はく:ほうきで掃く
にはざくら:庭に植えた桜
- 作者
- よみ人しらず
- 出典
- 拾遺和歌集
- 前の歌
- 見も果てて行くと思へば散る花に つけて心の空になるかな
- 次の歌
- 浅茅原主なき宿の桜花 心やすくや風に散るらん