花もみな散りぬる宿は行く春の
故里とこそなりぬべらなれ
- 歌の意味
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花もすべて散ってしまった家は、去って行く春の故里となってしまうようだ。
- 鑑賞
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巻第一 春歌 77
詞書「同じ御時月次御屏風に」
花がみな散ってしまった家は、去っていった春にとっての故里となってしまいそうだと詠む。春が去った後の家を、春がかつて過ごした住まいに見立て、春を人のように扱っている。詞書によれば、醍醐天皇の延喜の御代に作られた月次の御屏風に添えた歌である。
作者の「つらゆき」は紀貫之である。古今和歌集の撰者の中心となり、仮名序を書いた。土佐日記の作者としても知られ、三十六歌仙の一人に数えられる。
初句「花もみな」は、花もすべて、の意である。
二句「散りぬる宿は」は、散ってしまった家は、の意である。
三句「行く春の」は、去って行く春の、の意で、春を人に見立てている。
四句「故里とこそ」は、「こそ」の係助詞が置かれ、結句の已然形「べらなれ」で結ぶ。本巻の第四十九首が人の住んだ故里を、第五十五首が雁の故郷を詠んだのに対し、本歌は春の故里を詠む。
結句「なりぬべらなれ」は、「べらなり」が推量の助動詞で、なってしまうようだ、の意である。
ふるさと:かつて住んでいた所。なじみの土地
- 作者
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紀貫之
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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風吹けば方も定めず散る花を いづ方へ行く春とかは見む
- 次の歌
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常よりものどけかりつる春なれど 今日の暮るるは飽かずぞありける