常よりものどけかりつる春なれど
今日の暮るるは飽かずぞありける
- 歌の意味
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いつもの年よりものどかであった春だが、それでも今日という日が暮れてゆくのは名残惜しいことだ。
- 鑑賞
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巻第一 春歌 78
詞書「閏三月侍りける晦日に」
閏月があって例年よりのどかに長く過ごせた春であったが、それでも春の最後の日が暮れていくのは名残惜しいと詠む。春を惜しむ心で本巻を締めくくる歌である。詞書によれば、閏三月があった年の、その月の晦日に詠んだ歌である。
作者の「みつね」は凡河内躬恒である。古今和歌集の撰者の一人で、紀貫之と並び称された。三十六歌仙の一人に数えられる。
初句「常よりも」は、いつもの年よりも、の意で、閏月によって春が長かったことを示す。
二句「のどけかりつる」は、のどかであった、の意である。
三句「春なれど」は、「ど」が逆接を表す。
四句「今日の暮るるは」は、春の最後の日である今日が暮れることを示す。巻頭の第一首が立春の「今朝」を詠んだのに対し、本歌は春の終わりの日の暮れを詠み、本巻を朝と夕べで閉じている。
結句「飽かずぞありける」は、「ぞ」の係り結びで連体形「ける」で結び、名残惜しさを表す。
つごもり:月の最後の日。みそか
うるふ:暦と季節のずれを調整するために加える月。閏月
- 作者
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凡河内躬恒
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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花もみな散りぬる宿は行く春の 故里とこそなりぬべらなれ
- 次の歌
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鳴く声はまだ聞かねども蝉の羽の 薄き衣は裁ちぞ着てける