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我がごとく我を思はむ人もがな
さてもや憂きと世を試みむ

歌の意味
私があの人を思うように、私を思ってくれる人がいてほしいものだ。そうであってもやはり男女の仲はつらいものなのか、試してみたい。
鑑賞
巻第十五 恋歌五 750

詞書「題しらず」
 一方的に思うばかりの恋に疲れ、自分と同じだけ自分を思ってくれる相手がいたら、それでも恋はつらいのかを試したいと詠む。恋の苦しさの原因を、思いの不釣り合いに見いだした理知的な歌である。
 作者の「凡河内みつね」は凡河内躬恒である。甲斐権少目、丹波権大目、和泉権掾、淡路権掾などの地方官を歴任した下級官人で、紀貫之らとともに古今和歌集の撰者を務めた。三十六歌仙の一人である。

 初句「我がごとく」は、私のようにの意で、自分が相手を思う深さを基準として示す。
 二句「我を思はむ」は、初句の「我」を受けて「我を」と重ね、思う側と思われる側を入れ替える。助動詞「む」は仮定の婉曲である。
 三句「人もがな」は、願望の終助詞「もがな」で、そういう人がいてほしいと願う。ここで句切れとなる。
 四句「さてもや憂きと」は、「さても」がそうであってもの意、「や」は疑問で、「憂き」は男女の仲のつらさをいう。
 結句「世を試みむ」は、「世」が男女の仲を指し、「試みむ」は意志を表す。恋のつらさを実験するかのような表現に、躬恒らしい知的な発想が見られる。

よ:男女の仲
こころみる:ためしてみる
作者
凡河内躬恒
出典
古今和歌集
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