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いづれをか花とは分かむ古里の
春日の原にまだ消えぬ雪

歌の意味
どちらを花と見分けたらよいだろう。古い都の春日の原に、まだ消えずに残っている雪よ。
鑑賞
巻第一 春歌上 22

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 前歌が雪を退けたのに対し、この歌は再び残雪に戻り、白い雪と白い花のどちらとも決めかねる心を詠む。春日野を舞台とする点で第十首から第十三首の一連とも通じる。詞書は前歌に続いて「題しらず」である。
 作者の凡河内躬恒(生没年未詳)は平安時代前期の歌人で、『古今和歌集』の撰者の一人である。紀貫之と並び称され、三十六歌仙にも数えられる。
 場面は早春、場所は大和国の春日の原である。「古里」は奈良の古京を指す。
 詠まれた直接の契機は伝わらない。

 初句
二句「いづれをか花とは分かむ」の「か」は疑問の係助詞で、結びの「分かむ」が連体形となる。どちらを花と判別しようか、という迷いの提示である。「む」は意志
適当を表す。
 三句「古里の」は古い都、ここでは奈良の旧都を指す。巻頭の良経歌以来くり返される「古里」の語が、ここでも舞台を古びた土地に定めている。
 四句「春日の原に」は春日の原で、若菜の一連と同じ土地である。同じ場所を季節の進行に沿って詠み継ぐ配列になっている。
 結句「まだ消えぬ雪」は体言止めで、「ぬ」は打消の助動詞の連体形である。何が花に紛れているのかを最後に明かす構成で、疑問を先に立て、答えを結句に置く形をとる。
 雪を花と見紛うという趣向は、前の第十九首が雪を花と「見よ」と命じたのに対し、こちらは見分けられないと戸惑う形をとっており、同じ素材の異なる扱いとして並べられている。

分く:見分ける。区別する
古里:古びた里。ここでは奈良の旧都
作者
凡河内躬恒
出典
新古今和歌集
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