今さらに雪降らめやも陽炎の
燃ゆる春日となりにしものを
- 歌の意味
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今さら雪など降るだろうか、いや降るはずがない。陽炎の燃え立つ春の日となったのだから。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 21
詞書は前の歌に続き「題しらず」
ここまで雪と春を並べる歌が続いてきたが、この歌はそれを反語によって断ち切り、もう雪は降らないと言い切る。冬から春への移りが一連の中でここで決着する形になっている。詞書は前歌に続いて「題しらず」である。
作者は「よみ人しらず」とあり、人名は伝わっていない。
時期は雪の季節が過ぎ、陽炎の立つころである。場所は特定されない。
詠まれた直接の契機は伝わらない。
この歌は『万葉集』巻十に見える歌に基づく。
初句「今さらに」は、今となってはもう、の意で、時期が過ぎたことを示す。
二句「雪降らめやも」の「やも」は反語を表す。雪が降るだろうか、いや降りはしない、という強い否定になる。これまでの数首が雪と春の同居を詠んできたのに対し、ここで雪が明確に退けられる。
三句「陽炎の」は陽炎で、地面から立ちのぼる暖かい空気の揺らぎをいう。雪と正反対の、暖かさの徴として置かれている。
四句「燃ゆる春日と」は、陽炎が燃え立つ春の日となった、の意である。「燃ゆる」は炎の語感を伴い、寒さの去った実感を強める。
結句「なりにしものを」の「ものを」は詠嘆を含む接続助詞で、〜であるのになあ、の意である。上の反語を後ろから支える理由として働き、余情を残して結ぶ。
やも:反語を表す。〜だろうか、いやそうではない
陽炎:春の日に地面から立ちのぼる、空気の揺らぎ
ものを:詠嘆を含む接続助詞。〜であるのになあ
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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