五月山木の下闇にともす火は
鹿のたちどのしるべなりけり
- 歌の意味
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五月の山の木の下の暗がりにともす照射の火は、鹿の居場所を知るための道しるべであったのだ。
- 鑑賞
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巻第二 夏歌 127
詞書「延喜御時月次御屏風に」
五月の山の茂った木々の下の暗がりにともす照射の火は、鹿の居場所を探り当てる手がかりだったのだと詠む歌である。闇にともる火と鹿の居場所を結びつけ、照射の場面を説明的にとらえている。詞書によれば、醍醐天皇の延喜の御代に、月ごとの行事を描いた屏風に添えた歌である。
作者の「つらゆき」は紀貫之である。古今和歌集の撰者の中心人物で、仮名序を執筆し、土佐日記を著した。三十六歌仙に数えられる。
初句「五月山」は、五月の頃の山をいう。
二句「木の下闇に」は、木々が茂って木の下が暗くなっていることをいう。本巻の第百二十四首の「五月闇」とも響き合う、夏の闇の表現である。
三句「ともす火は」は、照射のためにともす火をいう。前歌の「ともしする」を受け、照射の歌が続く。
四句「鹿のたちどの」は、鹿が立っている所、の意である。次歌の第百二十八首も同じ「鹿のたちどの」を二句に用い、二首が対をなす。
結句「しるべなりけり」は、道しるべであったのだ、の意で、「けり」は気づきの詠嘆を表す。本歌では火によって鹿の居場所が知られるのに対し、次歌では鹿の居場所が見えないと詠まれ、見える場面と見えない場面が対照をなしている。
こしたやみ:木が茂って木の下が暗くなっていること。木の下闇
たちど:立っている所。居場所
しるべ:道案内。手がかり
- 作者
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紀貫之
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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ほととぎすまつにつけてやともしする 人も山辺に夜を明かすらん
- 次の歌
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あやしくも鹿のたちどの見えぬかな をぐらの山に我や来ぬらん