年にありて一夜妹に逢ふ彦星も
我にまさりて思ふらんやぞ
- 歌の意味
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一年を待って一夜だけ妻に逢う彦星も、私以上に恋しく思っているだろうか、いやそうではあるまい。
- 鑑賞
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巻第三 秋歌 148
詞書「題しらず」
一年に一夜だけ妻に逢う彦星でさえ、自分ほどには相手を恋しく思っていないだろうと詠む歌である。七夕の二星の恋を引き合いに出して、自らの恋の深さを強く述べている。
作者の「人まろ」は柿本人麻呂である。飛鳥時代の宮廷歌人で、万葉集を代表する歌人として歌聖と仰がれる。三十六歌仙の一人に数えられる。
万葉集巻十の七夕の歌の中に、類する形の歌が見える。
初句「年にありて」は、一年の間を過ごして、の意で、字余りとなっている。
二句「一夜妹に逢ふ」は、ただ一夜だけ妻に逢う、の意で、字余りとなっている。本巻の第百五十首の「一年に一夜」と同じく、年と夜との対比で七夕の逢瀬を示す。
三句「彦星も」は、彦星でさえ、の意である。
四句「我にまさりて」は、私以上に、の意である。前歌が彦星よりも見る自分の方が苦しいと詠んだのに続き、本歌も彦星と自分とを比べ、自らの思いの方がまさると詠んでいる。
結句「思ふらんやぞ」は、思っているだろうか、いやそうではあるまい、の意で、「らん」は現在推量の助動詞であり、「や」は反語を表す。
いも:男性が妻や恋人を親しんで呼ぶ語。妹
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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彦星の思ひますらん事よりも 見る我苦し夜の更けゆけば
- 次の歌
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たなばたに脱ぎて貸しつる唐衣 いとど涙に袖や濡るらん