かりにとて我は来つれど女郎花
見るに心ぞ思ひつきぬる
- 歌の意味
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狩りのために、ほんの仮そめのつもりで私は来たのだけれど、女郎花を見ると、心がすっかり引きつけられてしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第三 秋歌 165
詞書「題しらず」
狩りのついでに仮そめの気持ちで来たのに、女郎花を見るとすっかり心が引かれてしまったと詠む歌である。前歌の戒めに応えるかのように、仮そめのつもりが本気になってしまった心を表している。
作者の「紀貫之」は、古今和歌集の撰者の中心人物で、仮名序を執筆し、土佐日記を著した。三十六歌仙に数えられる。
初句「かりにとて」は、本巻の第百六十三首と同じ初句で、「かり」に狩りの意と仮にの意を掛けた掛詞である。
二句「我は来つれど」は、私は来たけれど、の意で、「ど」は逆接の接続助詞である。
三句「女郎花」は、心を引きつける女郎花をいう。
四句「見るに心ぞ」は、見ると心が、の意で、「ぞ」は係助詞であり、結句の「ぬる」で結ぶ係り結びとなる。
結句「思ひつきぬる」は、心が引きつけられてしまった、の意で、「ぬる」は完了の助動詞「ぬ」の連体形である。前歌が仮そめに来る人に折られるなと戒めたのに対し、本歌は仮そめに来た人の側から心を奪われたと詠み、戒める側と戒められる側とが対をなしている。
かり:狩りの意と、仮そめの意を掛ける
おもひつく:心が引きつけられる。思いを寄せる
- 作者
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紀貫之
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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秋の野の花の名立てに女郎花 かりにのみ来ん人に折らるな
- 次の歌
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かりにのみ人の見ゆれば女郎花 花のたもとぞ露けかりける