- 歌の意味
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草を枕の旅をしているのは私だけではない。雁もまた旅の空を鳴きながら渡って行くようだ。
- 鑑賞
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巻第六 別歌 345
詞書「物へまかりける道にて、雁の鳴くを聞きて」
旅をしているのは自分だけではなく、雁もまた旅の空を鳴きながら渡って行くと詠む歌である。空を渡る雁の声に旅の同行者を見いだし、旅の寂しさをわずかに慰めながらも、その声によって旅愁を深めている。詞書によれば、旅の道中で雁が鳴くのを聞いて詠んだ歌である。
作者の「よしのふ」は大中臣能宣である。伊勢神宮の祭主を務めた大中臣氏の出で、梨壺の五人の一人として後撰和歌集の撰進と万葉集の訓読に携わった。三十六歌仙に数えられる。
初句「草枕」は、旅にかかる枕詞で、ここでは旅をする我が身をいう。前歌の第三百四十四首の「草の枕」に続いている。
二句「我のみならず」は、私だけではなく、の意である。
三句「雁がねも」は、雁もまた、の意である。本巻の第三百四首では帰る雁の声に別れ路の遠さを思ったが、ここでは旅の空を行く雁を旅の仲間と見ている。
四句「旅の空にぞ」は、旅の空に、の意で、係助詞「ぞ」による強調である。
結句「鳴き渡るなる」は、鳴きながら渡って行くようだ、の意で、「なる」は声を聞いて判断する推定の助動詞であり、係助詞「ぞ」を受けて連体形で結ぶ。
くさまくら:草を結んだ枕。旅寝。旅にかかる枕詞
かりがね:雁。また雁の鳴き声
- 作者
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大中臣能宣
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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郭公ねぐらながらの声聞けば 草の枕ぞ露けかりける
- 次の歌
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君をのみ恋ひつつ旅の草枕 露しげからぬ暁ぞなき