浪の上に見えし小島の島隠れ
行く空もなし君に別れて
- 歌の意味
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波の上に見えていた小島が島陰に隠れて見えなくなるように、行く先の空もわからず心もとない。あなたと別れて。
- 鑑賞
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巻第六 別歌 352
詞書「笠金岡が唐土に渡りて侍りける時、妻の長歌詠みて侍りける返し」
波の上に見えていた小島が島陰に隠れていくように、あなたと別れて行く先の空も定まらず心もとないと詠む歌である。遠ざかり見えなくなる島影に、妻と別れて異国へ渡る心細さを重ねている。詞書によれば、笠金岡が唐土へ渡った時、妻が詠んだ長歌に対する返しの歌である。
作者の「かなをか」は笠金岡である。仁明天皇の時代の人と伝えられるが、伝の詳細は明らかでない。
初句「浪の上に」は、波の上に、の意である。前歌の陸路での別れに対し、ここでは海の上の別れが詠まれる。
二句「見えし小島の」は、見えていた小島の、の意で、「し」は過去の助動詞「き」の連体形である。
三句「島隠れ」は、島陰に隠れて見えなくなる、の意である。本巻の第三百五十首、第三百五十一首の「隠れゆく」「隠るる」に続き、遠ざかって隠れるものが詠まれる。
四句「行く空もなし」は、行く先の空もわからない、心も定まらない、の意で、ここで句切れとなる。
結句「君に別れて」は、あなたと別れて、の意で、倒置によって心もとない理由を後に示している。
しまがくれ:島の陰に隠れて見えなくなること
もろこし:中国の古称。唐土
- 作者
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笠金岡
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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君が住む宿の梢のゆくゆくと 隠るるまでに顧みしはや
- 次の歌
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天飛ぶや雁の使ひにいつしかも 奈良の都に言伝てやらん