君が住む宿の梢のゆくゆくと
隠るるまでに顧みしはや
- 歌の意味
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あなたが住む家の木々の梢を、道を行きながら、見えなくなるまで何度も振り返って見たことだ。
- 鑑賞
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巻第六 別歌 351
詞書「流され侍りて後、言ひおこせて侍りける」
都を離れる道すがら、あなたの住む家の梢が見えなくなるまで、何度も振り返って見たと詠む歌である。遠ざかる梢を見つめ続ける姿に、愛する人と都への尽きない思いを込めている。詞書によれば、作者が流された後に、都の人へ言い送った歌である。
作者の「贈太政大臣」は菅原道真である。菅原是善の子で、宇多天皇に重用されて右大臣に至ったが、延喜元年に大宰権帥に左遷され、配所で没した。死後に太政大臣を贈られた。
初句「君が住む」は、あなたが住む、の意である。
二句「宿の梢の」は、家の木々の梢の、の意である。
三句「ゆくゆくと」は、道を行きながら、の意である。
四句「隠るるまでに」は、見えなくなるまで、の意である。前歌の第三百五十首の「隠れゆく」と同じく、遠ざかる故郷が見えなくなるさまを詠み、筑紫へ流される者の歌として対をなしている。前歌は思い出もない故郷を詠んだが、ここでは愛する人の住む家を見つめ続けている。
結句「顧みしはや」は、振り返って見たことだ、の意で、「し」は過去の助動詞「き」の連体形、「はや」は詠嘆を表す。
こずゑ:木の幹や枝の先
かへりみる:振り返って見る
- 作者
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菅原道真
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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思ひ出もなき古里の山なれど 隠れゆくはたあはれなりけり
- 次の歌
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浪の上に見えし小島の島隠れ 行く空もなし君に別れて