霧立ちて照る日の本は見えずとも
身はまどはれじ寄るべありやと
- 歌の意味
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霧が立ちこめて、照る日のもとは見えなくとも、わが身は迷うまい。身を寄せるところがあるのではないかと思って。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 1694
詞書「霧」
霧を題とする一首で、菅原道真の一字題の歌十二首の五首目である。霧に隠れて照る日のもとが見えなくとも、身を寄せるところがあるはずだと思えば、わが身は迷うまい、と詠む。隔てられてもなお頼みを失うまいとする心を詠んだものと解されている。
作者の「菅贈太政大臣」は菅原道真である。原文に作者名はなく、前歌から続く。菅原是善の子で、学者、漢詩人として知られ、右大臣に至ったが、醍醐天皇の代に大宰権帥に左遷され、配所で没した。没後に太政大臣を追贈されたため、この呼称で記される。
初句「霧立ちて」は、霧が立ちこめて、の意である。題の「霧」を、視界をさえぎるものとして置いている。
二句「照る日の本は」は、照り輝く日のもと、の意である。日の照らす所をいい、遠く隔たった都を思わせる語として置かれている。
三句「見えずとも」の「とも」は逆接仮定の接続助詞である。たとえ見えなくても、と仮定して下へ続ける。
四句「身はまどはれじ」の「じ」は打消意志の助動詞である。霧の中でもわが身は迷うまい、という決意を示し、ここで句切れとなる。
結句「寄るべありやと」は倒置で、迷うまいと思う理由を後から添えている。「や」は疑問の係助詞で、身を寄せるところがあるのではないかと問いかける形をとる。
よるべ:身を寄せるところ。頼りとするところ
まどふ:迷う。途方に暮れる
- 作者
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菅原道真
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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山別れ飛びゆく雲のかへり来る 影見る時はなほ頼まれぬ
- 次の歌
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花と散り玉と見えつつあざむけば 雪ふるさとぞ夢に見えける