花と散り玉と見えつつあざむけば
雪ふるさとぞ夢に見えける
- 歌の意味
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雪が花のように散り、玉のようにも見えて目をあざむくので、雪の降る故郷が夢に見えたことだ。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 1695
詞書「雪」
雪を題とする一首で、菅原道真の一字題の歌十二首の六首目である。花のように散り、玉のようにも見えて目をあざむく雪に誘われ、雪の降る故郷を夢に見た、と詠む。配所にあって、都の家を恋しく思う心が表れている。
作者の「菅贈太政大臣」は菅原道真である。原文に作者名はなく、前歌から続く。菅原是善の子で、学者、漢詩人として知られ、右大臣に至ったが、醍醐天皇の代に大宰権帥に左遷され、配所で没した。没後に太政大臣を追贈されたため、この呼称で記される。
初句「花と散り」は、舞い散る雪を花にたとえる。雪を花と見るのは、和歌に広く見られる見立てである。
二句「玉と見えつつ」は、雪を白玉にも見立てる。「つつ」は反復を表し、花とも玉とも見えるさまが続くことをいう。
三句「あざむけば」は、目をだますので、の意である。「ば」は已然形に付く順接確定条件で、雪が見る者を惑わすことを夢の原因として示す。
四句「雪ふるさとぞ」の「ふる」は、雪が降る意と、古くなった里すなわち故郷の意とを掛ける掛詞である。雪の景から故郷へと一語で転じている。
結句「夢に見えける」は、四句の係助詞「ぞ」を受けて助動詞「けり」の連体形「ける」で結ぶ係り結びである。雪の見立てに惑わされた心が、そのまま故郷の夢へと移ってゆく。
ふる:雪が降る意と、古る(古くなる)意を掛け、「ふるさと」を導く
あざむく:だます。惑わす
- 作者
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菅原道真
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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霧立ちて照る日の本は見えずとも 身はまどはれじ寄るべありやと
- 次の歌
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老いぬとて松は緑ぞまさりける わが黒髪の雪の寒さに