老いぬとて松は緑ぞまさりける
わが黒髪の雪の寒さに
- 歌の意味
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年老いたといっても、松はかえって緑の色がまさることだ。わたしの黒髪は、雪が降り積もったように白く寒々としているのに。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 1696
詞書「松」
松を題とする一首で、菅原道真の一字題の歌十二首の七首目である。年を経ても松はかえって緑を深めるのに、わが黒髪には雪のような白髪が置く、と詠む。色を変えない松と老いてゆくわが身とを対比し、配所で老いる嘆きを込めている。
作者の「菅贈太政大臣」は菅原道真である。原文に作者名はなく、前歌から続く。菅原是善の子で、学者、漢詩人として知られ、右大臣に至ったが、醍醐天皇の代に大宰権帥に左遷され、配所で没した。没後に太政大臣を追贈されたため、この呼称で記される。
初句「老いぬとて」は、年老いたといっても、の意である。「ぬ」は完了の助動詞で、松が長い年月を経たことをいう。
二句「松は緑ぞ」の「ぞ」は係助詞で、三句の結びへ係る。松は寒さにも色を変えない常緑の木として、和歌で長寿や節操の象徴とされてきた。
三句「まさりける」は、係助詞「ぞ」を受けて助動詞「けり」の連体形「ける」で結ぶ係り結びである。老いてかえって緑がまさる松の姿を示し、ここで句切れとなる。
四句「わが黒髪の」は、作者自身の髪をいう。「黒」の語が、松の「緑」と色の上で対をなす。
結句「雪の寒さに」の「雪」は白髪のたとえである。倒置の形で黒髪に置く雪の寒さを後に示し、変わらぬ松と老いる身との対比を際立たせている。
まさる:程度が増す。いっそう深まる
- 作者
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菅原道真
- 出典
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新古今和歌集
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花と散り玉と見えつつあざむけば 雪ふるさとぞ夢に見えける
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筑紫にも紫生ふる野辺はあれど なき名悲しぶ人ぞ聞こえぬ