山別れ飛びゆく雲のかへり来る
影見る時はなほ頼まれぬ
- 歌の意味
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山から離れて飛んでいく雲が、また帰ってくる姿を見るときは、やはり(いつか帰れるかと)頼みに思われる。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 1693
詞書「雲」
雲を題とする一首で、菅原道真の一字題の歌十二首の四首目である。山を離れて飛び去った雲がまた戻ってくる姿を見ると、やはり帰る日を頼みに思ってしまう、と詠む。前歌の月と同じく、戻ってくるものに自らの帰京の望みを託している。
作者の「菅贈太政大臣」は菅原道真である。原文に作者名はなく、前歌から続く。菅原是善の子で、学者、漢詩人として知られ、右大臣に至ったが、醍醐天皇の代に大宰権帥に左遷され、配所で没した。没後に太政大臣を追贈されたため、この呼称で記される。
初句「山別れ」は、山から離れて、の意である。雲が山から湧き出て、そのふるさとを離れてゆくさまをいう。
二句「飛びゆく雲の」は、空を流れ去ってゆく雲をいう。都を離れて遠く下った作者自身の姿が重ねられる。
三句「かへり来る」は、去った雲がまた山へ戻ってくることである。前歌で西の海にとどまらない月を詠んだのに続き、ここでも戻ってくるものが見つめられている。
四句「影見る時は」の「影」は姿のことである。係助詞「は」が、その時に限っては、という意を添える。
結句「なほ頼まれぬ」の「れ」は自発の助動詞「る」の連用形、「ぬ」は完了の助動詞である。望みを捨てたつもりでも、雲の帰る姿を見れば、おのずと帰る日を頼みにしてしまう心の動きが表れている。
かげ:姿。形
たのむ:頼りにする。あてにする
- 作者
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菅原道真
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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月ごとに流ると思ひしますかがみ 西の海にもとまらざりけり
- 次の歌
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霧立ちて照る日の本は見えずとも 身はまどはれじ寄るべありやと