月ごとに流ると思ひしますかがみ
西の海にもとまらざりけり
- 歌の意味
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月ごとに西へ流れ去ると思っていた、真澄の鏡のような月は、西の海にもとどまらないのだった。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 1692
詞書「月」
月を題とする一首で、菅原道真の一字題の歌十二首の三首目である。ひと月ごとに西へ流れ去ると思っていた月は、西の海にとどまることなく、また空にめぐってくる、と詠む。西へ流されたまま帰ることのできないわが身と、めぐり戻る月とを引き比べた歌と解されている。
作者の「菅贈太政大臣」は菅原道真である。原文に作者名はなく、前歌から続く。菅原是善の子で、学者、漢詩人として知られ、右大臣に至ったが、醍醐天皇の代に大宰権帥に左遷され、配所で没した。没後に太政大臣を追贈されたため、この呼称で記される。
初句「月ごとに」は、ひと月ごとに、の意である。月が満ち欠けを繰り返しながら西へ沈んでゆくことを示す。
二句「流ると思ひし」の「流る」は、月が西へ移って沈んでゆくことをいう。「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、かつてそう思っていたことを示す。
三句「ますかがみ」は、よく澄んだ鏡のことで、ここでは月をたとえる。
四句「西の海にも」は、月の沈む西方の海をいう。道真が流された筑紫も都から見て西にあたり、その身の上が重ねられている。
結句「とまらざりけり」の「けり」は、気づきを表す詠嘆の助動詞である。月は西にとどまらずまた昇るのだと気づき、とどまったまま帰れない自分との違いを嘆いている。
ますかがみ:よく澄んだ鏡。真澄鏡と書く
- 作者
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菅原道真
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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天の原あかねさし出づる光には いづれの沼かさえ残るべき
- 次の歌
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山別れ飛びゆく雲のかへり来る 影見る時はなほ頼まれぬ