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鳴く声はあまたすれども鶯に
まさるとりのはなくこそありけれ

歌の意味
鳴く鳥の声はたくさん聞こえるけれども、鶯にまさる鳥はいないことだ。
鑑賞
巻第七 物名 357

詞書「さるとりの花」
 鳴く鳥の声は数多く聞こえるけれども、鶯にまさる鳥はいないと、鶯の声をたたえる歌である。四句から結句にかけての「まさるとりのはな」の音の続きに、詞書の「さるとりの花」の名を隠している。詞書の「さるとりの花」は、この歌に詠み込まれた物の名である。
 作者の「藤原すけみ」は藤原輔相である。藤原弘経の子で、藤六と呼ばれた平安時代中期の歌人である。物名の歌を得意とし、家集に藤六集がある。

 初句「鳴く声は」は、鳴く鳥の声は、の意である。
 二句「あまたすれども」は、数多くするけれども、の意で、「ども」は逆接の接続助詞である。
 三句「鶯に」は、鶯に比べて、の意である。巻頭の第三百五十四首の巣を作る鶯に続き、鶯が詠まれる。
 四句「まさるとりのは」は、まさる鳥というものは、の意である。結句の頭の「な」と続けて「さるとりのはな」の名を隠している。
 結句「なくこそありけれ」は、いないことだ、の意で、係助詞「こそ」を受けて已然形「けれ」で結ぶ。

さるとりのはな:猿捕茨の花。猿捕茨はとげのある蔓性の木。「まさる鳥のは無く」の音の続きに隠して詠み込む
作者
藤原輔相
出典
拾遺和歌集
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