旅のいはやなき床にも寝られけり
草の枕に露は置けども
- 歌の意味
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旅先では、岩屋さえない野ざらしの床にも寝ることができた。草の枕に露は置くけれども。
- 鑑賞
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巻第七 物名 356
詞書「いはやなぎ」
旅先で、雨露をしのぐ岩屋さえない野ざらしの床にも寝ることができた、草の枕には露が置くけれどもと詠む歌である。旅寝のわびしさの中に、二句の「いはやなき」の音の続きに詞書の「いはやなぎ」の名を隠している。詞書の「いはやなぎ」は、この歌に詠み込まれた物の名である。
作者の「藤原すけみ」は藤原輔相である。藤原弘経の子で、藤六と呼ばれた平安時代中期の歌人である。物名の歌を得意とし、家集に藤六集がある。
初句「旅の」は、旅先の、の意である。
二句「いはやなき床にも」は、岩屋もない床にも、の意で、「いはやなき」に「いはやなぎ」の名を隠している。前歌までの春の花に続き、木の名が詠まれる。
三句「寝られけり」は、寝ることができた、の意で、「られ」は可能の助動詞、「けり」は気づきを表す。ここで句切れとなる。
四句「草の枕に」は、旅寝の草の枕に、の意である。
結句「露は置けども」は、露は置くけれども、の意で、「ども」は逆接の接続助詞である。倒置によって三句に続けている。
いはやなぎ:岩柳。柳の一種とされる。「岩屋無き」の音の続きに隠して詠み込む
いはや:岩に開いた洞穴。岩屋
くさのまくら:旅先での寝床。旅寝
- 作者
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藤原輔相
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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花の色をあらはに愛でばあだめきぬ いざくらやみになりてかざさむ
- 次の歌
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鳴く声はあまたすれども鶯に まさるとりのはなくこそありけれ