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そこへうのかは浪分けて入りぬるか
待つほど過ぎて見えずもあるかな

歌の意味
鵜は川波を分けて、水の底へ入ってしまったのか。待つ時間が過ぎても、姿が見えないことだ。
鑑賞
巻第七 物名 425

詞書「へうのかは」
 鵜が川波を分けて水の底へ入ってしまったのか、待つ間が過ぎても姿が見えないと詠む歌である。水に潜ったまま浮かんでこない鵜を待つ景を詠み、初句から二句にかけての「へうのかは」の音の続きに、詞書の「豹の皮」の名を隠している。詞書の「へうのかは」は、この歌に詠み込まれた物の名である。
 作者の「すけみ」は藤原輔相である。藤原弘経の子で、藤六と呼ばれた平安時代中期の歌人である。物名の歌を得意とし、家集に藤六集がある。

 初句「そこへうの」は、水の底へ鵜が、の意である。末の「へうの」と二句の頭の「かは」とを続けて「へうのかは」の名を隠している。
 二句「かは浪分けて」は、川波を分けて、の意である。
 三句「入りぬるか」は、入ってしまったのか、の意で、ここで句切れとなる。
 四句「待つほど過ぎて」は、待つ間が過ぎても、の意である。
 結句「見えずもあるかな」は、見えないことだ、の意で、「かな」は詠嘆である。次歌の第四百二十六首も獣の皮の名を隠しており、皮の名を隠す歌が二首並ぶ。

へうのかは:豹の皮。「底へ鵜の川浪」の音の続きに隠して詠み込む
う:水に潜って魚をとる鳥。鵜
作者
藤原輔相
出典
拾遺和歌集
前の歌
鶯のなかむしろには我ぞ鳴く 花のにほひやしばしとまると
次の歌
かのかはのむかはぎ過ぎて深からば 渡らでただに帰るばかりぞ