我妹子が身を捨てしより猿沢の
池のつつみやきみは恋しき
- 歌の意味
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いとしい女が身を投げてからというもの、猿沢の池の堤が、あなたには恋しいのだろうか。
- 鑑賞
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巻第七 物名 411
詞書「つつみやき」
いとしい女が猿沢の池に身を投げてからというもの、あなたはその池の堤が恋しいのだろうかと問いかける歌である。猿沢の池の采女の故事を踏まえ、四句から結句にかけての「つつみやき」の音の続きに、詞書の「包み焼き」の名を隠している。詞書の「つつみやき」は、この歌に詠み込まれた物の名である。
作者の「すけみ」は藤原輔相である。藤原弘経の子で、藤六と呼ばれた平安時代中期の歌人である。物名の歌を得意とし、家集に藤六集がある。
大和物語には、帝の寵愛が衰えたのを嘆いた采女が猿沢の池に身を投げた話が見え、柿本人麻呂の「我妹子が寝くたれ髪を猿沢の池の玉藻と見るぞ悲しき」の歌が伝えられる。この歌は拾遺和歌集の哀傷の巻にも入っている。
初句「我妹子が」は、いとしい女が、の意で、猿沢の池に身を投げた采女を指す。人麻呂の「我妹子が寝くたれ髪を」の歌と同じ初句である。
二句「身を捨てしより」は、身を投げてからというもの、の意で、「し」は過去の助動詞「き」の連体形である。
三句「猿沢の」は、奈良の猿沢の池の、の意である。
四句「池のつつみや」は、池の堤が、の意で、「や」は疑問の係助詞である。結句の頭の「き」と続けて「つつみやき」の名を隠している。前歌までの鮎に続き、料理の名が詠まれる。
結句「きみは恋しき」は、あなたは恋しいのか、の意で、係助詞「や」を受けて連体形「恋しき」で結ぶ。
つつみやき:包み焼き。魚などを包んで焼く料理。「堤や君は」の音の続きに隠して詠み込む
さるさは:奈良の興福寺の南にある池。猿沢の池
わぎもこ:いとしい女性
- 作者
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藤原輔相
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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はし鷹のをき餌にせんと構へたる おしあゆかすな鼠取るべく
- 次の歌
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この家はうるかいりても見てしがな 主ながらも買はんとぞ思ふ