いかりゐの石をくくみてかみこしは
きさのきにこそ劣らざりけれ
- 歌の意味
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怒った猪が石をくわえて噛んできたその牙は、象の牙にも劣らないことだ。
- 鑑賞
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巻第七 物名 390
詞書「きさの木」
怒った猪が石をくわえて噛んできたその牙は、象の牙にも劣らないと詠む歌と解される。猛々しい猪の牙を象の牙に比べる戯れの中に、四句の「きさのき」に、詞書の「きさの木」の名を象の牙の意に転じて詠み込んでいる。詞書の「きさの木」は、この歌に詠み込まれた物の名である。
作者の「すけみ」は藤原輔相である。藤原弘経の子で、藤六と呼ばれた平安時代中期の歌人である。物名の歌を得意とし、家集に藤六集がある。
初句「いかりゐの」は、怒った猪の、の意と解される。
二句「石をくくみて」は、石を口に含んで、くわえて、の意である。
三句「かみこしは」は、噛んできたものは、の意と解される。
四句「きさのきにこそ」は、象の牙にも、の意で、「きさ」は象の古名、「き」は牙をいう。題の「きさの木」をこの意に転じて詠み込んでいる。本巻の第四百二十三首も「きさのき」の名を隠している。
結句「劣らざりけれ」は、劣らないことだ、の意で、係助詞「こそ」を受けて已然形「けれ」で結ぶ。本巻の第三百七十七首と同じ結句である。
きさのき:木の名とされるが、詳しくは明らかでない。象の牙の意の「きさの牙」に掛けて詠み込む
きさ:象の古名
くくむ:口に含む
- 作者
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藤原輔相
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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神奈備のみむろのきしや崩るらん 竜田の河の水の濁れる
- 次の歌
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五月雨にならぬ限りは郭公 何かはなかむしのぶばかりに