世とともに塩焼く海人の絶えせねば
なぎさのきのはこがれてぞ散る
- 歌の意味
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いつの世も、塩を焼く海人が絶えることがないので、渚の木の葉は、その火に焦がれて散ることだ。
- 鑑賞
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巻第七 物名 423
詞書「きさのきのはこ」
いつの世も塩を焼く海人が絶えることがないので、渚の木の葉はその火に焦がれて散ると詠む歌である。藻塩を焼く浜の景を詠み、四句から結句にかけての「きさのきのはこ」の音の続きに、詞書の「きさの木の箱」の名を隠している。詞書の「きさのきのはこ」は、この歌に詠み込まれた物の名である。
作者の「すけみ」は藤原輔相である。藤原弘経の子で、藤六と呼ばれた平安時代中期の歌人である。物名の歌を得意とし、家集に藤六集がある。
初句「世とともに」は、いつの世も、いつまでも、の意である。
二句「塩焼く海人の」は、塩を焼く海人が、の意である。
三句「絶えせねば」は、絶えることがないので、の意で、已然形に「ば」がついて理由を表す。
四句「なぎさのきのは」は、渚の木の葉は、の意である。結句の頭の「こ」と続けて「きさのきのはこ」の名を隠している。本巻の第三百九十首も「きさのき」の名を詠み込んでいる。
結句「こがれてぞ散る」は、焦がれて散る、の意で、係助詞「ぞ」を受けて連体形「散る」で結ぶ。
きさのきのはこ:きさの木で作った箱とされる。「渚の木の葉焦がれ」の音の続きに隠して詠み込む
こがる:火に焼けて焦げる
- 作者
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藤原輔相
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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久方の月のきぬをば着たれども 光は添はぬ我が身なりけり
- 次の歌
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鶯のなかむしろには我ぞ鳴く 花のにほひやしばしとまると