久方の月のきぬをば着たれども
光は添はぬ我が身なりけり
- 歌の意味
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月という名をもつ衣を着ているけれども、月のような光は添わない我が身であることだ。
- 鑑賞
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巻第七 物名 422
詞書「月のきぬを着て侍りけるに」
月の名をもつ衣を着ているけれども、月のような光は少しも添わない我が身だと自嘲する歌である。詞書によれば、「月のきぬ」を着ていた時に詠んだ歌である。衣の名にちなんで空の月を持ち出し、光に栄達の意を重ねて、ぱっとしない我が身を戯れている。
作者の「すけみ」は藤原輔相である。藤原弘経の子で、藤六と呼ばれた平安時代中期の歌人である。物名の歌を得意とし、家集に藤六集がある。
初句「久方の」は、月にかかる枕詞である。
二句「月のきぬをば」は、月の名をもつ衣を、の意で、詞書の「月のきぬ」を空の月に結びつけている。
三句「着たれども」は、着ているけれども、の意で、「たれ」は存続の助動詞「たり」の已然形、「ども」は逆接の接続助詞である。
四句「光は添はぬ」は、月の光は添わない、の意で、光に栄えを重ねている。
結句「我が身なりけり」は、我が身であることだ、の意で、「けり」は詠嘆を表す。
つきのきぬ:月の名をもつ衣とされるが、詳しくは明らかでない
そふ:付け加わる。添う
- 作者
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藤原輔相
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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年を経て君をのみこそねずみつれ ことはらにやは子をば産むべき
- 次の歌
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世とともに塩焼く海人の絶えせねば なぎさのきのはこがれてぞ散る