年を経て君をのみこそねずみつれ
ことはらにやは子をば産むべき
- 歌の意味
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長い年月、あなたのもとでばかり寝て住んできたのだから、どうしてほかの腹に子を産むことがあろうか。
- 鑑賞
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巻第七 物名 421
詞書「鼠の、琴の腹に、子を産みたるを」
長い年月あなたのもとでばかり寝て住んできたのだから、どうしてほかの腹に子を産むことがあろうかと、鼠の身になって詠んだ歌である。詞書によれば、鼠が琴の胴の中に子を産んだのを見て詠んだ歌である。三句の「ねずみつれ」に鼠の名を、四句の「ことはら」に琴の腹を掛け、珍しい出来事を機知に転じている。
作者の「すけみ」は藤原輔相である。藤原弘経の子で、藤六と呼ばれた平安時代中期の歌人である。物名の歌を得意とし、家集に藤六集がある。
初句「年を経て」は、長い年月を経て、の意である。
二句「君をのみこそ」は、あなたのもとでばかり、の意で、係助詞「こそ」による強調である。
三句「ねずみつれ」は、寝て住んできた、の意の「寝住みつれ」に、「鼠」の名を掛けている。係助詞「こそ」を受けて已然形「つれ」で結び、ここで句切れとなる。
四句「ことはらにやは」は、ほかの腹に、の意の「異腹」と、琴の胴の「琴腹」とを掛けている。「やは」は反語を表す。
結句「子をば産むべき」は、子を産むはずがあろうか、の意で、反語を受けて連体形「べき」で結ぶ。本巻の第三百五十四首の「こうばいかでか産まむ」と、子を産むことをめぐって巻頭と響き合っている。
ねずみ:鼠。「寝住み」に掛けて詠み込む
ことはら:異なる腹の意と、琴の胴の腹とを掛ける
- 作者
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藤原輔相
- 出典
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拾遺和歌集
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ことぞとも聞きだに分かずわりなくも 人のいかるかにげやしなまし
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久方の月のきぬをば着たれども 光は添はぬ我が身なりけり