ことぞとも聞きだに分かずわりなくも
人のいかるかにげやしなまし
- 歌の意味
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何事なのかと聞き分けさえしないで、むやみに人が怒るのか。いっそ逃げてしまおうか。
- 鑑賞
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巻第七 物名 420
詞書「いかるがにげ」
何事なのかと聞き分けさえしないで、むやみに人が怒るのなら、いっそ逃げてしまおうかと詠む歌である。理不尽に怒る人を前にした困惑を戯れて詠み、四句から結句にかけての「いかるかにげ」の音の続きに、詞書の「いかるがにげ」の名を隠している。詞書の「いかるがにげ」は、この歌に詠み込まれた物の名である。
作者の「みつね」は凡河内躬恒である。古今和歌集の撰者の一人で、三十六歌仙に数えられる。
初句「ことぞとも」は、何事であるとも、の意である。
二句「聞きだに分かず」は、聞き分けさえしないで、の意で、「だに」は、〜さえ、の意を表す。
三句「わりなくも」は、むやみに、理不尽にも、の意である。
四句「人のいかるか」は、人が怒るのか、の意で、「か」は疑問を表す。結句の頭の「にげ」と続けて「いかるがにげ」の名を隠している。
結句「にげやしなまし」は、逃げてしまおうか、の意で、「や」は疑問、「まし」はためらいを含んだ意志を表す。
いかるがにげ:物の名とされるが、詳しくは明らかでない。「怒るか逃げ」の音の続きに隠して詠み込む
いかる:腹を立てる
- 作者
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凡河内躬恒
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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鷹飼ひのまだも来なくにつなぎ犬の 離れていかむなくるまつほど
- 次の歌
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年を経て君をのみこそねずみつれ ことはらにやは子をば産むべき